金芝河先生を悼む
韓国の国民的詩人であり思想家、金芝河(キムジハ)氏がご逝去されたことを知りました。
心より深くご冥福をお祈りします。
先生との思い出は、人智学協会代表者の高橋巖先生との青丘コリア文化研究会を通してと、
精神世界の研究発表の場で私がオイリュトミーを披露したときなど数回あります。
少人数でのお夕食の席に同席し顔と名前を覚えてくださいました。
金芝河氏の思想を学んだこともあります。
しかし最も印象的なことは、四人乗りの小さな車で移動した折のことです。
金芝河氏は、前の助手席に座って、私の隣席には、
氏の弟子であり「朝露」など国民的シンガーソングライターであり、
脚本家の金敏基(キンミンギ)氏が座っていました。
田舎の道の悪い凸凹道で、運転手が誤ってアクセスを踏み、慌てて急ブレーキをかけて止まったところは、
あと数センチで崖下に落下する寸前でした。
その時、この両者は何も反応せず黙してました。
その時、運転手が言った言葉は「ふぅ、危うく歴史的事件を起こすところだった」
そう言って安堵したのです。
私は、この両者が並の人間ではないことを身をもって知った瞬間でした。
金芝河氏が私のオイリュトミーを観た後に、言ってくれた言葉、
「継続してやりなさい」
この言葉が、今の私にオイリュトミーを37年間も続けている力となっています。
私は、氏の描く蘭の絵が好きで、
「先生は、蘭の絵を今もお描きになりますか?」と尋ねますと、
「いや、今は描いていない」でした。
涙を持って、先生の死を悼み、ご冥福をお祈りいたします。
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